日々の観測記録 2022/3/18【通算55話】
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【はじめに】
本シリーズを読むにあたっての諸注意を以下にまとめています。
初めての方は一度ご確認いただければ幸いです。
https://www.fav.fan/Likely_15Night/Dkdl6
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家主「ただいまー」
シーン……
家主「……おいおい、あいつ、まさかまた布団雪崩に巻き込まれてるんじゃないだろうな?」
* * *
ガラガラ
家主「んー、流石に今回は違ったか……」
幽霊「すぅ……すぅ……」
家主「ん?(チラッ」
幽霊「ぐー……zzz」
家主「って、寝てる……珍しいな、昼寝なんて」
幽霊「すやり……」
家主「……こうしてると、普通に生きてる女の子にしか見えないんだけどな」
家主「……8歳で死ぬなんて、やっぱり早すぎるよな……」
幽霊「ん……みゅぅ……? おやぬししゃまぁ……?」
家主「おう、ただいま」
幽霊「えへへぇ、おかえりなしゃぁい……ぐぅ……zzz」
家主「……もう少し、寝かせてあげよう」
* * *
家主「……8歳の女の子が死んだとなれば、ネットニュースには載ってるだろ」
今まで、彼女と共に過ごしてきて、それなりの信頼関係は築けていると思っている。傍から見れば、兄妹のような関係性に見えるのではないか、とも思う。
でも、あの子は俺に完全に心を開いている訳ではない。俺は彼女の“今”に着いては誰よりも理解しているが、彼女の“過去”については、没8歳であること以外、何一つとして知らないし、教えてもくれないのだ。
何度も彼女の過去について問い質した。しかし、帰ってくる答えはいつも『教えたくない』『知られたくない』『言いたくない』……そんな言葉ばかりだった。
もしかしたらそれは、同居人に気を使って欲しくないという、彼女の優しさなのかもしれない。自分の過去を知られてしまうことで、今の関係が壊れてしまうかもしれないことを、恐れているのかもしれない。思い出すのもはばかられるほど、辛い過去なのかもしれない。
だが、俺は知りたい。生憎、好奇心は人一倍旺盛な性格だ。そうでなければ、心霊物件に住もうだなんて思わないし、そこに棲む地縛霊と親しくなんてなっていない。
俺は全てを明らかにして、自らの知的好奇心を満たしたい。それだけのために、今、彼女の想いを裏切ろうとしている。そんな事実に罪悪感を覚えるが、それでも、キーボードを打鍵する俺の指は止まらない。
情報を調べ続けて暫く経った頃、一つの見出しが目に止まる。
『女児失踪、8歳の小学生』
記事の内容を読んでみると、地域もこの住所と一致していた。この記事の中では、少女の捜索願いが出され、捜索中である旨で結ばれており、その後少女がどうなったのかについては、書かれてはいなかった。
そう、この記事の中では。
関連記事として表示されたその見出しに、俺の鼓動は早まる。
『失踪中の8歳女児、遺体で発見。逮捕された叔母「殺すつもりは無かった」』
間違いない、そう確信した。この記事だ。
俺は震える手でマウスを動かし、カーソルを見出しに乗せる。
そして、記事を開こうと、人差し指に力を込めた。
――その時。
プツンッ!
家主「あっ!」
突然、視界が暗闇に染まる。部屋の電灯も、パソコンの画面から放たれる光も消え、黒だけが眼前に広がっている。
家主「停電……? いや、ブレーカーか?」
ブレーカーを確認しに行こうと立ち上がった瞬間、首筋に冷たい感触が走る。
家主「……!」
やがて、冷たい感触は圧迫感を伴っていく。
……これは、手だ。冷たく冷えきった手が、俺の首に宛てがわれているのだ。
それに気が付いた途端、冷たさや圧迫感は消え……耳元で、囁くような声が聞こえる。
声『.҉̧̞͒͞シ.҈̪҇̆̾̚͜ラ.̴̨̲̪̀͌͞ナ.҈̡͍͗͆͠ク.̶̖̟̜̂̔͜͞テ.̵̢͒́͠イ.̵̡̟̲͗̇̔͠ͅイ.҈͈̋̕͜ノ.̷̧̥̩͊́̚͡ニ.̸̩҇͋͆̓͢』
ああ、この声は。耳に馴染む、この声は。
次の瞬間には、何事も無かったかのように、部屋の灯りは点いており、俺は立ち上がっている訳でもなく、マウスを持ったまま椅子に座っていた。
今のは、一体……?
そう疑問に思っていると、トタトタと廊下を歩いてくる音が聞こえる。
やがて、足音の主はこの部屋まで辿り着き、扉を開けた。
幽霊「あっ、やっぱり帰ってたんですね、お家主さま! ごめんなさい、わたし寝ちゃってて、お出迎えできませんでした……」
家主「ああ……いや、いいよ。気にしないで」
幽霊「……? あれ、お家主さま、どうしたんですか? なんか、すごい汗ですよ?」
家主「……なんでもないよ」
そういい、俺は彼女の頭を撫でる。
その背後、パソコンの画面には、ページが削除されている旨を告げるエラーメッセージが表示されていた。
―TODAY'S END―
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【注意】
※本編はここで終了となります。続きはキャラ設定テキストだけですので、予めご了承の程をよろしくお願いいたします。