【再】日々の観測記録 2022/7/7【通算75話】
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※今回の文章は2017年9月頃に執筆した内容の一部を切り取った微修正版となります。とはいえ初出です。
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【はじめに】
本シリーズを読むにあたっての諸注意を以下にまとめています。
初めての方は一度ご確認いただければ幸いです。
https://www.fav.fan/Likely_15Night/Dkdl6
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――部屋で一人、パソコンに向かう青年。
彼が、今日が七夕である事に気が付いたのは、検索サイトのバナー画像が七夕仕様に変わっていたからだ。
宏樹(ああ……今年ももう、そんな季節か)
普段から部屋に引き篭っているせいで、日付に無頓着になってしまっている事は問題があると自分でも思う。だが、結局思うだけで、直せずにいた。
いつもそうだ。いくら困っている事柄でも、面倒だと解決を先送り、何か問題が起きるまで放置する。自分の嫌な癖だ。
……昔を思い出した。穢れなんか知らず、純粋に生きていた時のことを。
学校で勉強し、友達と遊んで、帰ったらテレビで特撮を見て、家族と団欒して……。ああ、今でも鮮明に思い出せる。
あの頃、僕らはヒーローごっこに夢中になった。でも、僕みたいな弱気な奴は、当然ヒーローをやりたいなんて言い出せず、怪人や怪獣みたいな、悪役しかできなかった。
本当は僕だって、ヒーローになりたかった。でも、それはごっこ遊びのヒーローだけじゃない。
そう、僕は“本当の”ヒーローになりたかったんだ。
ここには笹も短冊も無い。だから飾ることはできないけど、せめて心の中で願った。
宏樹(あの頃に、戻りたい)
* * *
隷慈「…………」
名倉「……む? おやぁ、誰かと思えば君か。何の用かな?」
隷慈「例の計画はどうなった?」
名倉「例の……あぁ、アスタプロジェクトかい? 順調さ、もうすぐテストをする予定だよ」
名倉「でも、変身者無しでのテストはやっぱり捗らない。“また”君に協力を頼みたいんだがねぇ……『01』クン?」
隷慈「巫山戯るなッ!(バァン!」
名倉「おおぅ、そんなに怒るなよ……ククク」
隷慈「私はもう、去年のような失敗は御免だぞ……!」
名倉「たぁしぃかぁにぃ! 去年の惨事は私の責任だ悪かったとは思っているだぁが!! あの失敗があったからこそ! 今、アスタプロジェクトは順調に進んでいる。あれは必要な犠牲だったのだよ……ククク……ハァーハッハッハァー!!」
隷慈「ほざくな! この道化師気取りの外道め!」
名倉「クク、最ッ高の賞賛をどうもありがとう……!」
名倉「そうだ、今日は七夕だろう? 君もプロジェクトの成功でも願ってくれ……」
名倉「あぁ、それか……『02』の無事でも願うかぁい?」
隷慈「貴様……!!」
職員「マスター・アリス! ここにおられましたか。お取り込み中申し訳ございません!」
隷慈「……なんだ」
職員「御息女様より御電話がございました。後ほど折り返して欲しいとの旨を仰せつかっています」
隷慈「……ご苦労、すぐ連絡する」
名倉「おやぁ、そんなにイライラしたまま娘さんと電話したら、怖がらせてしまうんじゃないかい? それとも、娘さんの声を聞いたらイライラは吹き飛んでしまうかな?」
隷慈「…………(キッ」
名倉「ククク、そう睨むなって……」
隷慈「……おい、戻るぞ」
職員「はっ!」
名倉「また何時でも遊びにおいで! ハッハッハッ!」
名倉「……ありゃあ、七夕の願いは娘さんのことかな」
―TODAY'S END―
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【注意】
※本編はここで終了となります。続きはおまけテキストだけですので、予めご了承の程をよろしくお願いいたします。