日々の観測記録 2022/3/17【通算54話】
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【はじめに】
本シリーズを読むにあたっての諸注意を以下にまとめています。
初めての方は一度ご確認いただければ幸いです。
https://www.fav.fan/Likely_15Night/Dkdl6
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黒影「……この角度、このパワーで蹴れば……」
バシュッ!
……カシュッ
黒影「ダメか……もう少しパワーを抑えた方がいいか……」
黒伊沢「ぶちょ〜さーん」
黒影「わぁ?! って、黒伊沢さんか……まだ帰ってなかったの?」
黒伊沢「うん。ずっと見てました」
黒影「ずっとって……もう遅いし、早く帰らないと家族が心配するよ?」
黒伊沢「それを言うなら、部長さんもそうでしょ?」
黒影「僕は……いいんだよ。遅くても」
黒伊沢「……色々あるんですねー」
黒伊沢「わたしも、もうちょっとなら大丈夫です。だから、見学してもいいですか?」
黒影「本当に大丈夫?」
黒伊沢「何か言われたら、お嬢の名前を出せばなんとかなります」
黒影「……参ったな」
黒伊沢「コソ練ですものね、見られたくないですか?」
黒影「……いや、もう見られちゃったしね。いいよ、気が済むまで見ていって」
黒伊沢「ふふ、許可を得ました。どーんと居座っちゃいます」
黒影「はは……」
* * *
黒影「ほっ……と」
黒影「……ここ!(バシュッ!」
ヒューン……カシュッ
黒影「タイミングがズレたか……」
黒伊沢「……あのー」
黒影「ん、どうしたの?」
黒伊沢「わたしがパス、しましょうか?」
黒影「え? いや、でも……」
黒伊沢「ほら、蹴りますよ〜……えいっ」
黒影「わわっ……!(バシュッ!」
ピシューン!
黒伊沢「おー、ナイスゴール」
黒影「もう、急にはやめてって」
黒伊沢「ふふー、でも蹴れたじゃないですか」
黒伊沢「部長さん、上手いですよね、ライジング。たぶん、この地区で、いちばん」
黒影「……そんなことない、買い被りすぎだよ」
黒伊沢「そうでしょうか? でも、お嬢なら今のパス、反応できませんよ」
黒影「どうかな……僕なんかより、細流さんの方が凄いって」
黒伊沢「……ねぇ、部長さん。やっぱり一回、私とパートナー、組みませんか?」
黒影「またその話?」
黒伊沢「わたしたちでパートナーを組んだら、きっと、すごく楽しいです」
黒影「いやいや、君にはもう、細流さんが……」
黒伊沢「分かっているんでしょう? わたしとお嬢、相性良くないって」
黒影「…………」
黒伊沢「わたしはお嬢と一緒だと、足引っ張っちゃうし。お嬢もわたしのやりたいこと、させてくれないし……」
黒伊沢「お嬢とわたしがもっと強くなるためには、パートナーを変えるという選択も、視野に入れないといけないんです」
黒伊沢「だから……お試しで、わたしと組みませんか?」
黒影「……別に、僕じゃなくてもいいんじゃないかな。それこそ、真田くんとか、清蓮さんに――」
黒伊沢「黒影さんとじゃないとイヤなんです(グイッ」
黒影「…………」
黒伊沢「……気付いてますよね? わたしのプレイスタイルと、あなたのプレイスタイル、組めば相性抜群だって」
黒伊沢「わたし……自分の本来のポテンシャルがどれくらいなのか、お嬢との今後のために、一度知っておきたいんです」
黒伊沢「あなたとなら、わたしの全力が、きっと出せます」
黒影「……無理だよ、僕じゃ」
黒影「僕なんてさ、部長なのに指示もしないし試合にも出ない、本気でライジングに取り組んでない奴なんだよ。そんな奴と組んでも、君に迷惑をかけるだけだ」
黒伊沢「本気じゃないなら、どうしてこんな遅い時間まで、練習してるんですか」
黒影「……さあ、どうしてだろうね」
黒伊沢「一度でいいんです。どうですか?」
黒影「……やめておくよ」
黒伊沢「……そう、ですか」
黒伊沢「すみません、なんか、熱くなっちゃって……こういうノリ、嫌いなのに、わたしらしくない……」
黒影「それだけ、君がライジングに本気って証だよ。……僕とは違って」
黒伊沢「…………」
黒影「練習、付き合ってくれるんだよね? ボールのパス、お願いしてもいいかな」
黒伊沢「……はい」
―TODAY'S END―
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【注意】
※本編はここで終了となります。続きはキャラ設定テキストだけですので、予めご了承の程をよろしくお願いいたします。