日々の観測記録 2022/7/5【通算74話】
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【はじめに】
本シリーズを読むにあたっての諸注意を以下にまとめています。
初めての方は一度ご確認いただければ幸いです。
https://www.fav.fan/Likely_15Night/Dkdl6
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前回までのあらすじ
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未来の魔王、結町ですっ!
長年の夢やった世界征服の第一歩として、学校で世界征服部を作ろうとしたんやけど……ふぇぇ!! 誰も入部してくれるって言うてくれへーん! そればかりか、白い目で見られる始末……!
そんなある日、偶然帰り道ですれ違った佐藤せんぱいが、魔王推しという事を聞いた私! これは世界征服部に入ってくれるかも!! という訳で、善は急げで早速(?)勧誘! 無事、一人目の配下にすることができました〜♪
でも、ちゃんと部として認めてもらうためには、まず同好会から始めないといけない事実が発覚……! しかも、同好会として認められるためには、数人の参加者と顧問になってくれる先生が必要って……そんなん無理ゲーすぎる〜!!
でもでも、こんなところで挫けとったら、いつまで経っても世界征服はできへん! 今日もがんばって、せんぱいと一緒に参加希望者を探すで〜!!
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第2話『第二の配下は不登校?』
★ ★ ★
佐藤「いやぁ、毎日毎日クソあっちぃなぁ……」
結町「ですね、せんぱい……こない暑かったら、世界征服同好会の勧誘もままなりません……」
佐藤「手芸同好会って言うようにしとけ? 誰が聞いてるか分からないんだから」
結町「はーい……あぅぅ、暑い……」
佐藤「……仕方ないなぁ、購買でアイス買ってくるから待ってろ」
結町「えー?! ほんまに?! せんぱい大好き〜!」
佐藤「はいはい、すぐ戻るからな」
結町「いってらっしゃーい」
結町「…………」
結町(あ、あれ? 私今、ノリでせんぱいに大好きって言わんかった……?! は、恥ずかしいぃ〜!!)
* * *
佐藤「戻ったぞ〜……って、どうした、そんなに顔真っ赤にして」
結町「な、なんでもないでしゅ……」
佐藤「それにしても、本当に暑いな……」
佐藤「もし俺らがちゃんと部室を持ってたら、『部室で涼んで行きませんか〜』って誘導して、そのままなし崩し的に入部させられそうなんだが」
結町「お、恐ろしいことを考えますね……流石は私の配下」
佐藤「一般的には茶道部の手口だけどな」
結町「でも、手段は選んでられないのかも……」
佐藤「今年中に、とりあえず同好会として認められたいんだっけか」
結町「はい。ほんまは部として認めて貰えたら一番ええけど、無理やと思うし……」
佐藤「随分弱気な魔王様だな。だがまあ、その通りだ」
佐藤「地道に、手芸好きとか世界征服好きを探すしかないよなぁ……」
結町「はい……」
佐藤「お前、本当にアテはないのか? まだ頼んでない友達とかいないのか?」
結町「そない言われても、友達には全員に声かけて断られ……あっ」
佐藤「ん?」
結町「あと一人、声かけてない友達、いました」
結町「ただ……その子、不登校になっちゃってて」
佐藤「……不登校の幽霊部員でも、人数にカウントしていいものか」
結町「あかんと思います……」
佐藤「そもそも、入ってくれるかも分からないしな」
結町「……一応、声、かけといた方がいいですか?」
佐藤「え?」
結町「あかんかも知れんけど……その子とも、久しぶりにお喋りしたいし……」
佐藤「そうだな……まあ、俺はお前の意向に従うよ。配下だからな」
結町「……じゃあ、その子にも声かけときますね」
佐藤「おう」
* * *
〜放課後〜
結町(……来ちゃった)
結町(ROUTEで予め、来てもいいよってお返事もらっとるけど……なんか、緊張する……)
結町「……すぅー、はぁー……よし」
ピンポーン
少女の声『はい』
結町「し、白椛さん……私、結町です……」
白椛『あぁ……待ってて』
結町「…………」
ガチャッ
白椛「いらっしゃい」
結町「あっ、えっと、久しぶり……」
白椛「上がって」
結町「ふぇっ?」
白椛「……このまま玄関で話したい?」
結町「あっ、い、いえ! 上がりましゅっ!!」
* * *
白椛「…………」
結町「…………」
結町(あ……)
結町(圧迫感がすごい〜!!)
結町(白椛さん、ちょっと何考えてるか読めないっていうか……悪い子じゃないんやけど、声色が冷たい感じがして怖いねんな〜……)
白椛「……ねぇ」
結町「ひゃいっ?!」
白椛「ケーキあるけど」
結町「ひゃっ、ケー……?」
白椛「…………」
結町「……?」
白椛「いらんの?」
結町「あっ!! た、食べる!! 食べます!」
白椛「…………(スタッ、タタタタ……」
結町(……あぅぅ、なんでこないに縮こまっとるんやろ、私……)
白椛「……はい」
結町「あ、ありがとうござ……わぁ、美味しそう……!」
白椛「…………」
結町「え、あ、い、いただきます……!」
結町「……〜!! おいひぃ……!」
白椛「そう」
結町「……(モグモグ」
白椛「……(ジーッ」
結町「……(ゴックン」
白椛「……(ジーッ」
結町(た、食べづらいよぉ……)
白椛「結町」
結町「ふぇ?! な、なに……?」
白椛「……服、ええね」
結町「え、服……? あ、このワンピース……?」
白椛「かわいい柄」
結町「あ、ありがとうございます……」
白椛「……(パシャッ」
結町「ぅえぇっ?! しゃ、写真撮られた?!」
白椛「参考にしたい」
結町「参考って……なんの参考?」
白椛「自分で作る時の」
結町「自分で……えっ、自分で?!」
結町「今、自分で作るって言ったやんな?! 自分でお洋服作れるん?!」
白椛「暇やから」
結町「す、すごい……! 白椛さん、裁縫が趣味なんや……」
結町「あ、そ、そうや! えっとな、今日来たんは、お話があって……」
白椛「…………」
結町「そ、その……白椛さん、世界征服に興味ある?!」
白椛「世界征服?」
結町「あっ、ち、ちが……そうじゃなくって、えっと、手芸! 手芸に、興味ありますか?!」
白椛「世界征服はどうでもいいけど、手芸は少し」
結町「ほ、ほんまに?!」
結町「えっと、私、学校でせか……手芸部を作りたくって。あ、ま、まずは同好会からなんやけど……」
結町「も、もし興味あるんやったら、手芸同好会に入ってくれへんかな〜……なんて……思ったり……したのですが……」
白椛「私、学校行ってへんよ」
結町「うっ、し、知ってる……」
白椛「部活したりとかせんけど、それでもええの?」
結町「あ、え、えっと……」
白椛「別にどうせ行かへんし、所属するだけしてもええけど」
結町「あ、ほ、ほんまに……!?」
白椛「…………」
結町「ありがとう、白椛さん……! やっと一人目や……!」
白椛「私以外おらんの?」
結町「あ、ううん。あともう一人、佐藤せんぱいが入ってくれてて……あ、佐藤せんぱいって言われても分からんよね……せんぱいはね、わた」
白椛「いい、別に」
結町「ひっ!! そ、そうやんな、知らん先輩の話なんて興味ないやんな!」
白椛「今度、直接会うから」
結町「ふぇっ?」
白椛「学校行かなあかんでしょ、同好会とか部に入る時の手続き」
結町「あ、そ、そっか……」
白椛「また出来たら呼んで」
結町「は、はいっ!」
白椛「あと、敬語かタメかどっちかにしや」
結町「ぅぇっ、タメで話しちゃってます?! 馴れ馴れしかったですよね、すみません!」
白椛「そうやなくて」
結町「え?」
白椛「……友達やろ、一応」
結町「あ、はっ……う、うん! 友達、やね!」
白椛「ん」
* * *
〜翌日〜
結町「というわけで、メンバーが一人増えましたよ、せんぱい!」
佐藤「まじか……ダメもとで言ったつもりだったんだが」
結町「お裁縫が趣味みたいだから、手芸にも興味持ってくれて……えへへ、よかったぁ」
佐藤「……そういえば、結町って手芸できるのか?」
結町「え?」
佐藤「ちなみに俺は全くしたことないが」
結町「……じゅ、授業でやる程度なら」
佐藤「いやそれは俺もそうだって」
結町「…………」
佐藤「…………」
結町「せ、世界征服と同じくらい、手芸も頑張っていきましょう! ねっ!」
佐藤「人数集めより前に、手芸の練習の方が先かもな……」
―TODAY'S END―
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【注意】
※本編はここで終了となります。続きはおまけテキストだけですので、予めご了承の程をよろしくお願いいたします。